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水資源管理

基本的な考え方

artienceグループは、水資源が重要な自然資本の一つであることを認識し、水使用量・排水量の削減、排水が環境や生物に与える影響の削減、事業継続に影響を及ぼす水リスクの把握とリスク低減に取り組んでいます。2022年1月、サステナビリティビジョンasv2050/2030を策定し、水利用についても長期的な環境目標を定めました。目標の達成に向けて、循環冷却の徹底、利用後のリユース・リサイクルによる水使用量の削減に加えて、水を必要としない生産プロセスの開発などによる水使用量の削減を進めていきます。

目標と実績

目標

asv2050/2030における目標

実績

当社グループでは、以前から循環冷却の徹底や、地下水を冷却水として利用後に工程水(反応、洗浄など)として利用するなど、水使用量の削減に努めています。2023年度の国内での水使用量は250.5万m3(前年度比 12.4%減)で、その92.9%は地下水を使用しています。また、海外関係会社の水使用量は232.8万m3で、前年度より増加しています。

水使用量の推移
水使用量の推移
水使用量の推移

集計範囲:国内主要製造所・工場と国内関係会社、海外は海外主要生産関係会社

  • 水質汚濁の防止

水リスクの評価と対応

水リスクは、経済危機などと並んで企業が直面する重要なリスクの一つに数えられており、水害や渇水、水質汚濁、利用可能な水の制限など、さまざまな形で企業活動に影響を与える恐れがあります。
当社グループは、世界資源研究所の評価ツール「アキダクト」(Aqueduct Water Risk Atlas)4.0版を用いて、流域単位の量的リスク、質的リスク、規制・風評リスクの評価を行っています。
日本国内では、総合的な水リスクが「高い(High)」~「著しく高い(Extremely High)」と評価された事業所はありませんでしたが、7事業所で量的リスクが「高い」と評価されています。一方、日本以外のアジア地域(東南アジア、インド、中国、台湾、韓国)では、半数以上の事業所で総合的な水リスク、量的リスク、質的リスクが「高い~著しく高い」と評価されています。特に、タイやインドでは「水ストレス」のリスクが著しく高く、ベトナム、インドネシア、ミャンマーでは「河川の洪水リスク」が高く、中国の華南地区では「沿岸域の洪水リスク」が著しく高いことが示されています。また、質的リスクも東南アジアやインドで著しく高いことが示されています。アキダクトにおけるBAU(Business as usual)シナリオでの2030年の予測結果では、17の事業所で「水ストレス」のリスクが、24の事業所で「水需要」のリスクが悪化することが示されました。特に水ストレスにおいてはタイやインドで「著しく悪化の予測」と評価されています。
当社グループでは、洪水リスクの高い事業所に対しては、過去に大規模な洪水を経験したTOYO INK(THAILAND)CO.,LTD.の対策(電気設備の移設や土のうの設置、電気の遮断手順の明確化など)を展開しながら、洪水に備えた訓練を定期的に実施しています。
今後も、将来的に悪化が予測される「水ストレス」や「水需要」に備えて、水の有効利用や使用量の削減に取り組んでいきます。

各事業所における水リスク評価結果(リスクが「高い~著しく高い」と評価された項目と該当する事業所数)
地域

事業
所数

総合的な
水リスク
量的
リスク
質的
リスク
規制リスク・
風評リスク

ストレス
水の
枯渇
季節
変動
地下水位
の低下
河川の
洪水リスク
沿岸域の
洪水リスク
干ばつ
リスク
未処理の
接続排水
日本 13 0 7 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
アジア
(日本を除く)
22 13 15 9 4 1 2 8 6 2 13 16 5
ヨーロッパ 4 1 3 3 1 0 0 0 0 0 0 0 0
北米・中南米 5 0 3 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0
合計 44 14 28 14 5 1 2 8 6 2 13 16 5
各事業所における2030年の水リスク予測結果
(BAUシナリオで水リスクの各項目が悪化するとされた事業所数)
地域 事業所数 水ストレス 年間変動 季節変動 水の供給 水需要 水の枯渇
日本 13 0 0 0 0 7 0
アジア(日本を除く) 22 11 3 2 6 14 4
ヨーロッパ 4 3 0 0 1 1 1
北米・中南米 5 3 1 0 0 2 0
合計 44 17 4 2 7 24 5
水ストレス地域における取水量と消費量(2023年度)
取水量(万m3) 総取水量に占める割合(%) 排水量(万m3) 総排水量に占める割合(%)
高い、著しく高いと評価された拠点 15.32 3.17 0.96 0.25

集計範囲:アキダクト4.0版を用いて国内外44事業所を調査した中で「高い、著しく高い」と評された日本を除くアジア地域の拠点