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サプライチェーンマネジメント

基本的な考え方​

artienceグループは世界約20の国・地域に約60のグループ会社を抱え、グローバルにビジネスを展開しています。さらに、事業のグローバル化により、サプライチェーンも拡大し複雑化しており、企業にはそのサプライチェーンも含めて社会的責任を果たすことが求められています。当社グループは、サプライチェーンも自社の社会的責任の範囲と捉え、人権、労働、環境などに配慮した取り組みを推進しています。
具体的な施策として、「原材料購買規程」を1990年6月に制定(2024年1月改定)するとともに、「調達に関する基本方針」(2005年4月制定、2024年1月改定)に基づいたCSR調達を推進しています。サプライヤー各社のCSRのレベルアップと、サプライチェーン川上のサステナビリティ向上を目的として、「サステナブルサプライチェーンガイドライン」(2022年10月制定、2024年1月改定)を定めています。これらの基本方針やガイドラインは、当社グループが事業を展開する国・地域の法令や、国連・ILO・OECDなどによる国際行動規範、RBA・AIAGなどの業界基準の遵守・尊重を基本姿勢として、人権・労働慣行・安全衛生・環境・製品安全・コンプライアンス・情報セキュリティなど広範なサステナビリティ課題を網羅しています。日本語版、英語版、簡体字中国語版を用意しており、国内外のグループ会社やサプライヤーに周知しています。

artienceグループ(以下、「当社グループ」という)は、優れた製品・サービスをお客様に提供することで社会に貢献すると同時に、当社グループとともにサプライチェーンを構築する調達先と、公正・公平な調達活動を通じて相互信頼関係を構築することに努めます。当社グループが調達先と構築するサプライチェーンにおいて、そのあるべき姿を追求することにより、社会や地球環境の持続可能性の向上に貢献できるよう、「調達に関する基本方針」(以下、「本基本方針」という)を定め、これに則り、原材料購買や業務委託などの調達活動を遂行します。

  1. 法令・国際規範の遵守
    当社グループは、調達活動において事業活動を展開する国または地域の法令や規制を遵守し、かつ、国際行動規範および国または地域ごとの社会規範を尊重し、遵守に努めます。特に、「英国現代奴隷法(Modern Slavery Act 2015)」、「カリフォルニア州サプライチェーン透明法」、「OECD多国籍企業行動指針」、「OECD紛争地域および高リスク地域からの鉱物の責任あるサプライチェーンのためのデュー・ディリジェンス・ガイダンス」における、サプライチェーンを含めた人権対応強化等の社会的要請に応えます。
  2. 人権・労働への配慮
    当社グループは、サプライチェーンに関わるすべての労働者の人権を尊重し、児童労働や強制労働など、非人道的な処遇、差別、ハラスメント、紛争鉱物調達など人権侵害に加担する可能性を排除し、労働者としての権利と適切な雇用・労働環境が保障されたサプライチェーンの構築に努めます。また、事業展開地域における先住民族や地域住民の生存権・生活権にも配慮します。
  3. 地球環境・資源への責任
    当社グループは、調達活動を通じて地球環境の保全と循環型社会の発展に寄与すべく、環境関連の法令や規制の遵守に加え、自発的に環境負荷の低減と資源使用の削減に努めます。特に、サプライチェーン全体でのエネルギー消費と温室効果ガス排出の削減に取り組みます。また、化学メーカーとしての化学物質管理を原材料と生産プロセスの両面で徹底していきます。
  4. 公正な企業活動
    当社グループは、あらゆるステークホルダーの信頼を得るべく、法令を遵守し、企業倫理および責任ある企業行動規範に基づいた調達活動を実践します。贈収賄、不適切な利益供与や受領、公正な自由競争の阻害、知的財産権の侵害などの腐敗行為を禁止するとともに、守秘義務および説明責任の履行と透明性の確保のための適切な情報開示に努めます。
  5. 方針の周知と教育
    当社グループは、当社グループの社員をはじめサプライチェーンに関わるすべての方々に、本基本方針およびサステナブルサプライチェーンガイドラインを周知し、人権・労働・環境等に関する適切な研修・教育活動を通じて、サステナブルサプライチェーンの維持継続に努めます。
  6. 調達先の選定
    当社グループは、調達活動を通じて希求するサステナブルサプライチェーンのあるべき姿をともに実現するパートナーとして、遵法・品質・価格・供給力・技術力・情報提供力などの能力や信頼性を、合理的かつ総合的に勘案し、地球環境と社会の持続可能性向上に対して志を等しくする調達先を公正・公平な基準で選定します。また、サステナブルサプライチェーンの維持のために、調達先に対して適切な調査・監査を行い、継続的な改善に努めます。
    なお、本項の目的を達成するために、以下の基準を適用して新規調達先の選定ならびに既存調達先の定期的な状況確認を実施します。
    調達先選定基準
    1. 法令遵守
      法令・規制を遵守し、国際行動規範を尊重していること。特に、人権と労働慣行に慎慮し、サプライチェーン上のすべてのステークホルダーに対して誠実な企業活動を行っていること。
    2. 品質
      当社グループの要求品質を満たし、かつ、適切な品質管理体制を機能させることで、品質の安定性が確保されること。
    3. 価格
      経済合理性のある妥当な価格であること。当社グループが市場において価格競争力を確保できる水準の原材料価格であること。
    4. 供給力
      当社グループの要求数量および納期を満たし、かつ、供給の安定性が確保されること。
    5. 技術力
      当社グループの目指すモノづくりを支える、必要な水準の技術力を有していること。
    6. 情報提供力
      当社グループに必要または有効な情報や提案を、適時・適切に提供できること。
    7. 秘密保持
      当社グループとの取引を通じて獲得した情報について、適切な情報管理およびセキュリティ体制を機能させることで、秘密保持ができること。
    8. 環境調和
      事業活動において地球環境保全、資源保護、生物多様性に十分に配慮し、サプライチェーンにおけるエネルギー消費と温室効果ガス排出の抑制に努めていること。
    9. 経営基盤
      レジリエンスな経営基盤に立脚した、健全で持続的な企業経営を実践していること。
    10. CSR経営
      本基本方針およびサステナブルサプライチェーンガイドライン、もしくはそれらと同等水準の企業行動規範の遵守に努めたCSR経営を実践していること。
  7. 改廃および管理
    本基本方針の改廃は、artience株式会社の取締役会が決定しこれを行います。
    また、本基本方針の改廃事務等を行う所轄部署は、artience株式会社の調達活動を統括する部署とします。

2005年4月 制定
2024年1月1日 改定(2023年12月8日取締役会にて決議)

サステナブルサプライチェーンガイドライン​

推進体制​

サプライヤーに対する取り組みは、artience(株)グループ購買部が中心となり、「調達に関する基本方針」「サステナブルサプライチェーンガイドライン」に基づいたCSR調達活動を推進しています。
また、CSR調達に関わるリスクについては、リスクマネジメント部会で定期的に評価し、情報共有を行うとともにリスク発生の未然防止とリスクの低減に努めています。

CSR調達の推進​

CSR調達を通じて、サプライチェーンにおける遵法性の確保、労働環境・地球環境の改善に貢献したいと考えています。このため、①「調達に関する基本方針」「サステナブルサプライチェーンガイドライン」の周知、②サプライヤーに対する調査・監査・改善活動、③社員の理解深化、の施策を実施しており、海外拠点への調達に関する基本方針の周知活動なども推進しています。
2021年度から調達デュー・ディリジェンスの本格化に向けた準備を進め、2022年度から国内サプライヤーのサステナビリティ調査を順次実施し、分析結果を調達活動にフィードバックしています。
当社グループ自身もまた、調達活動における人権尊重の取り組みの確認や、EcoVadisによるサプライチェーンサステナビリティ評価、お客様からのCSR調達アンケート対応などを通じて、お客様とともにサプライチェーン全体のサステナビリティ向上に取り組んでいます。

  • CSR調達調査の実施
  • 新規サプライヤーへの取り組み​
  • 紛争鉱物への対応と調達における人権侵害加担の回避
  • EcoVadisによるサステナビリティ評価​
TOPICS
「パートナーシップ構築宣言」を改定
パートナーシップ構築宣言ロゴ
2024年5月27日、artience(株)は「パートナーシップ構築宣言」を改定しました。2022年10月31日に「パートナーシップ構築宣言」を公表していましたが、今回の改定は、2023年1 1月に内閣官房・公正取引委員会より示された「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」に基づいています。改定内容として、宣言文に以下の文言を明記しました。
「不合理な原価低減要請を行いません。取引対価の決定にあたっては、下請事業者と少なくとも年に1回以上の協議を行うとともに、下請事業者の適正な利益を含み、下請事業者における労働条件の改善が可能となるよう、十分に協議するよう努めます。」 
今後もサプライヤーとのさらなる相互繁栄を目指し、対話と連携を推進していきます。

物流課題に向けた取り組み​

物流の2024年問題への取り組み​

artience(株)は、2020年より国土交通省・経済産業省・農林水産省が提唱する「ホワイト物流」推進運動に賛同し、自主行動宣言を公表しています。取り組みとしては、中継拠点の整備・再配置を行い、配送や荷受けの最適化を進めます。
さらに、納品リードタイムの緩和や、納品先での待機時間の短縮、附帯業務の軽減など、お客様の理解と協力のもと、サプライチェーン一体となって物流事業者の負担軽減を図り、重要な社会インフラである物流の維持・改善に努めます。

これまでの取り組み事例

  • 幹線輸送部分と集荷配送部分の分離
  • 同業会社との共同出資で設立したロジコネット株式会社での共同配送による、配車の効率化や積載率の向上(2000年~)
  • 「ホワイト物流」推進運動に参画(2020年~)
  • お客様のご協力のもと、配送を考慮した受注締め時間を設定し、物流事業者の長時間労働を削減(2020年~)

「ホワイト物流」推進運動への参画

artience株式会社(旧 東洋インキSCホールディングス株式会社)は、国土交通省・経済産業省・農林水産省が提唱する「ホワイト物流」推進運動に賛同し、2020年5月、自主行動宣言を公表しました。原料サプライヤーや取引先、物流事業者と連携し、適正な運送契約と共同物流などによる効率的な物流を推進して、持続可能な物流の実現を目指します。

当社の自主行動宣言の主な項目
取り組み項目 取り組み内容
幹線輸送部分と集荷配送部分の分離 幹線輸送部分と配送部分の分離に積極的に取り組み、効率的な物流を推進します。
運転以外の作業部分の分離 物流事業者から運転業務と運転以外の附帯作業の分離について相談があった場合は、真摯に協議に応じます。
運送契約の書面化の推進 運送契約の書面化を推進します。
運賃と料金の別建て契約 運送契約を締結する場合には、運送の対価(運賃)と運送以外の役務などの対価(料金)を別建てで契約することを原則とします。
下請取引の適正化 自社及び運送契約の相手方の物流事業者に対しても、下請けに出す場合に「運送契約の書面化」と「運賃と料金の別建て契約」に対応するよう要請します。
契約の相手方を選定する際の法令遵守状況の考慮 契約する物流事業者を選定する際には、関係法令の遵守状況を考慮します。
異常気象時などの運行の中止・中断など 台風、豪雨、豪雪などの異常気象が発生した際やその発生が見込まれる際には、無理な運送依頼を行いません。また、運転者の安全を確保するため、運行の中止・中断などが必要と物流事業者が判断した場合は、その判断を尊重します。
共同物流の推進 原料サプライヤーや他企業と連携し、共同物流の取り組みを推進します。