環境調和型製品/LCAの活用
基本的な考え方
環境保全のためには製品の環境負荷を低減することが重要であると考え、「環境に関する基本方針」(2024年1月改定)を定め、早くから環境に配慮した製品・サービス「環境調和型製品」の提供に努めてきました。環境保全や持続可能な原材料調達などの取り組みを進めるべく、原材料調達、生産、使用、廃棄・リサイクルを含めたライフサイクル全体での環境負荷低減を目指し、LCA(ライフサイクルアセスメント)を活用したモノづくりを推進しています。
2022年1月、サステナビリティビジョンasv2050/2030を策定し、従来の環境調和型製品を環境と共生する社会の実現を目指す「環境価値」と、そこに快適・健やか・安全な社会の実現を目指す「生活価値」を加え、「サステナビリティ貢献製品」と定義しました。サステナビリティ貢献製品の推進を新中期経営計画の目標・KPIとしてさまざまな社会・環境問題の解決を目指します。
目標と実績
目標
artience2027(2024~2026年度)における目標
実績
2023年度の環境調和型製品の売上高は975億円(前年度比7.1%減)で、環境調和型製品売上高構成比は60.2%(前年度比2.2ポイント減少)でした。全製品の売上高が増加となったため、環境調和型製品の売上の割合が微減となりましたが、ラミネート接着剤やUVインキなどの売上高構成比は上昇しています。
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
---|---|---|---|---|---|
環境調和型製品 売上高(億円) |
951 | 949 | 970 | 1,050 | 975 |
環境調和型製品 売上高構成比(%) |
62.6 | 66.0 | 64.4 | 62.4 | 60.2 |
サステナビリティ貢献製品 売上高(億円) |
― | ― | ― | ― | 1,248 |
サステナビリティ貢献製品 売上高比率(%) |
― | ― | ― | ― | 53.6 |
集計範囲:
① 環境調和型製品は、2021~2023年度は中核事業会社(トーヨーカラー(株)、トーヨーケム(株)、東洋インキ(株))および関係会社(東洋ビジュアルソリューションズ(株)、東洋モートン(株))の国内計5社
※ 2018~2020年度は東洋アドレ(株)を含む計6社でしたが、2021年度にトーヨーケム(株)に東洋アドレ(株)が吸収される形で経営統合しています
② サステナビリティ貢献製品は、中核事業会社(トーヨーカラー(株)、トーヨーケム(株)、東洋インキ(株))および関係会社(東洋ビジュアルソリューションズ(株)、東洋モートン(株)、マツイカガク(株)、東洋ビーネット(株))の国内計7社と海外拠点(一部の拠点は集計対象外)
サステナビリティ貢献製品へ再定義
artienceグループではasv2050/2030の策定に合わせて「環境価値」だけに留まらず、「生活価値」を有する製品の基準を加え2023年度から、従来の環境調和型製品の定義を改めてサステナビリティ貢献製品として再定義しました。
従来の環境調和型製品では有害化学物質不使用などの環境基準が中心でしたが、「環境価値」ではサプライチェーン全体のサステナビリティに貢献するため、サプライチェーン全体への価値提供を意識した基準・方向性(脱炭素、資源循環、自然共生)に変更しています。
「生活価値」については、IoT・高速通信用デジタル関連素材やセンサー材料(自動運転の安全性、住環境の快適性)などの分野をより充実させて社会に貢献、ご提案できるような基準・方向性を設定しています。
LCAの活用
当社グループは、製品の原材料調達・生産・使用・廃棄・リサイクルを含めたライフサイクルでの環境負荷の定量的な評価手法であるライフサイクルアセスメント(LCA)を用いて環境負荷の「見える化」に取り組んでいます。
近年の欧州や各業界からの温室効果ガス(GHG)排出量開示要求の高まりに応え、気候変動課題の解決に向けた低炭素、脱炭素製品の価値を提供するため、製品ごとの温室効果ガス排出量(カーボンフットプリント、CFP)算出のルール策定やシステム整備など取り組み体制の構築を進めています。
現時点では公開されている平均的なGHG排出係数を活用していますが、実排出係数の活用に向けてサプライチェーンとの連携・協働を推進し、より低炭素に配慮した製品設計・開発・提供につなげていきます。
取り組み事例
- SuMPO認定 LCAエキスパート取得人材の育成
- 製品ごとのCFPの取り組み体制の構築
- 製品の開発段階およびビジネス探索における低炭素価値の訴求(脱墨など)
環境に配慮した粘着剤(ロールラベル用ホットメルト)の用途拡大により、さらなる環境負荷低減を推進
PETボトル飲料で多く採用されているロールラベル用のホットメルト粘着剤は、簡単に剥がすことができ、さらにラベルが付いたままでも粘着剤のアルカリ剥離性によって分離可能なため分別しやすく、リサイクルの効率化に貢献しています。また、ラベル基材の薄膜化や、粘着剤の部分塗工等で材料を極力少なくすることで、他のラベルシステムよりも環境負荷(CO2排出量)を低減できます。トーヨーケム(株)では、ロールラベルのさらなる用途拡大を目指し、新たに自販機ホット飲料ボトル向けの開発や、日用品および調味料などの飲料以外の容器への提案を進めており、今後も循環型社会への貢献を目指した取り組みに注力していきます。
トーヨーケム(株)宮﨑、鈴木
トーヨーケム(株) 新井
※ 数値は自社で算定したものであり、第三者による検証を受けたものではありません
ISCC PLUSへのコミットメント
artienceグループは、社会の要請やお客様のニーズに合った製品・サービスの開発・上市を推進しており、持続可能な社会の実現に貢献するための製品・サービスの提供に努めています。
このたび、環境配慮型製品の取り扱いを強化するために、トーヨーケム株式会社川越製造所(埼玉県川越市)において持続可能な製品の国際的な認証制度の一つであるISCC PLUS認証(※1)の取得に向けて準備を進めることになりましたので、以下の宣言にてコミットメントを表明いたします。
「トーヨーケム株式会社は、マスバランス方式(※2)で製造されるバイオマス原材料および再生原材料を使用したサステナブルな製品を取り扱うにあたり、ISCCの最新の規定に則り、ISCC PLUS要求事項に準拠することを約束し、宣言いたします。」
※1 ISCC PLUS認証:ISCC(International Sustainability and Carbon Certification:持続可能性および炭素に関する国際認証)が展開する認証制度です。バイオマスなど再生可能資源由来の原材料やリサイクル樹脂など再生資源由来の原材料を用いた製品を対象とし、サプライチェーンを通じたトレーサビリティに関する要求事項に準拠しているかどうかが審査されます。
※2 マスバランス方式:原材料から製品への加工・流通工程において、ある特性を持った原材料(例:バイオマスなど再生可能資源由来の原材料)がそうでない原材料(例:石油由来の原材料)と混合される場合に、その特性を持った原材料の投入量に応じて、製品の一部に対してその特性の割り当てを行う手法です。
トーヨーケム株式会社
代表取締役社長
有吉 泰