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生物多様性

基本的な考え方

artienceグループは、生物多様性の重要性を早くから認識し、生物多様性の保全を含めた自然保護活動に取り組むことを活動方針とし、地域での植林活動や河川・湖沼の清掃活動などを自主的に進めてきました。
愛知県名古屋市で生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が開催されるに先立ち、2009年3月に「経団連生物多様性宣言」が制定されたことを受け、当社グループでは、これまでの生物多様性に関する考え方や活動を整理・統合し、「生物多様性に関する方針」(2024年1月改定)を制定しました。
当社グループは自然由来の原料や水資源など多くの自然資本に依存し成り立っており、一方で生産活動による生態系への負荷があることを認識しています。生物多様性が危機的な状況にある中、当社グループは昆明・モントリオール生物多様性枠組で示された目標およびネイチャーポジティブの実現に貢献していくため、2024年1月に「生物多様性に関する方針」を改定しました。
化学メーカーとして生物資源の持続可能な利用や、化学物質の排出削減、サステナビリティ貢献製品の提供を通じて生物多様性の保全に取り組んでいきます。

artienceグループ(以下、「当社グループ」という)は、社会と地球環境の持続可能性向上に貢献し企業グループとしての持続的成長を目指すための中長期目標であるサステナビリティビジョン「asv2050/2030」の実現に向けて、当社グループの事業活動が影響を及ぼしうる生物多様性の保全に積極的に取り組むことを、重要な経営課題の一つとして位置付け、生物多様性の損失を阻止し、かつ、回復させることを目指します。

  1. 調達、資源保護
    当社グループは、原材料や資材、エネルギーなどの調達に際して生物多様性に配慮するとともに、サプライヤーの選定においても生物多様性への取り組みを考慮します。また、生物資源の持続可能な利用に努めます。
  2. 製品、生産活動
    当社グループは、持続可能な社会を実現させる「サステナビリティ貢献製品・サービス」の開発に努め、これらの提供・普及を通じて生物多様性の保全に貢献します。また、モノづくりにおけるCO2をはじめGHG(温室効果ガス)の排出や廃棄物の発生の削減に努めます。
  3. 水への取り組み
    当社グループは、生産プロセス改革や工程水の循環活用など水資源の適切な使用に取り組むとともに、事業を展開する地域の水質の維持・保全のためのモニタリングや取り組みを積極的に推進します。
  4. 大気への取り組み
    当社グループは、モノづくりにおけるVOC(揮発性化学物質)排出抑制に向けた取り組みを積極的に推進し、生物多様性への影響の最小化に努めます。この取り組みは、製品の生産工程だけでなく、お客様による使用時なども対象範囲としています。
  5. 地域との連携
    当社グループは、国内外の事業所において地域に密着した生物多様性の保全活動を、行政や各種団体と協力して実施・支援します。また、取り組みの結果について公表し、社会とのコミュニケーションに努めます。
  6. 啓発・教育
    当社グループは、社内において生物多様性に対する意識や知見を高め、経営戦略や事業戦略を含む企業活動全般に生物多様性の保全の取り組みの導入を推進するため、当社グループの役員、顧問および社員を対象とした適切な啓発・教育活動を行います。

2009年5月 制定
2024年1月1日 改定(2023年12月8日取締役会にて決議)

推進体制

環境マネジメント体制の中で取り組みを進めています。

目標

artience2027(2024~2026年度)における目標

TNFDフレームワークに基づくLEAPアプローチの実施

生物多様性の保全活動を推進していくにあたり、当社グループの自然資本への依存とインパクト、リスクと機会を把握し戦略を策定するためにTNFDフレームワークで示されたLEAPアプローチを実施しました。当社グループの全事業を対象とし、今回は直接操業を対象範囲として評価しました。

自然への依存とインパクトの把握

生物多様性に関する管理評価ツール「ENCORE(Exploring Natural Capital Opportunities, Risks andExposure)」を用いて、「総合化学」及び「特殊化学品」の産業サブグループで、当社グループの自然への依存度と影響を評価しました。その結果、自然資産への依存度は概ね低かったものの、「水の使用」「陸域生態系の利用」「GHG排出」「GHG以外の大気汚染物質」「水質汚濁物質」「土壌汚染物質」「固体廃棄物」が自然への影響度が高いことが示されました。

ENCOREによる評価結果
(自然に影響を与える要因とその影響度)
自然に影響を与える要因 セクター:素材
産業サブグループ:総合化学
セクター:素材
産業サブグループ:特殊化学品
水の使用 非常に高い 高い
陸域生態系の利用 高い 高い
GHG排出 高い
GHG以外の大気汚染物質 中程度 高い
水質汚濁物質 高い 高い
土壌汚染物質 高い 高い
固体廃棄物 高い

リスクと機会

当社グループでは、原材料調達から廃棄・リサイクルに至る事業活動のライフサイクルにおいて、どのような自然との接点(INPUT、OUTPUT)があり、それが生物多様性の「生息・生育環境の劣化」「里地里山の原料」「外来種の侵入」「化学物質によるばく露」「地球温暖化・気候変動」といった項目に影響を与えているかをまとめ、生物多様性へのリスクを明確にしました。
機会については、サステナビリティビジョンasv2050/2030において2030年でサステナビリティ貢献製品の売上高比率80%およびライフサイクル視点でCO2排出削減に貢献できる製品の拡大、2050年ですべての製品をサステナビリティ貢献製品にすることを目標に定めており、将来需要が高まると予測される製品の拡大を進めています。
また、自然環境はロケーションによって大きく異なり、単一の指標では測ることができないため、TNFDでは地域特性を重視した情報開示が推奨されています。
当社グループでは、国内外の44事業所の評価を行い、優先地域を特定しました。今後は地域に合わせたリスク管理を行っていきます。

事業所の生物多様性リスク評価項目
評価項目 評価ツール 評価指標
生物多様性の重要性 WWF Biodiversity Risk Filter Scape Physical Risk
水ストレス Aqueduct Water Risk Atlas 4.0 Baseline water stress
重大な潜在的依存関係や影響 ENCORE Hotspots Terrestrial Combined hotspots of natural capital depletion
地域ごとのリスクが高い、著しく高いと評価された事業所数
生物多様性の重要性 水ストレス 重大な潜在的依存関係や影響
高い 著しく高い 高い 著しく高い 高い 著しく高い
日本 0 0 0 0 0 0
アジア(日本を除く) 5 0 4 5 3 0
欧州 0 0 1 2 0 0
北米・中南米 0 0 2 0 0 0

戦略

当社では特に水環境に関して中国1拠点とタイ、インド、ヨーロッパ2拠点が「著しくリスクが高い」と評価されたため、該当する事業所の水リスクへの対応を図っていきます。

指標と目標

IUCNの「企業の生物多様性パフォーマンスの計画策定及びモニタリングのためのガイドライン」における中核指標の考え方や、上記の「事業活動と生物多様性との関連(リスク・機会)」の結果に基づき、これまで環境負荷低減のために取り組んできた活動目標・KPIを、生物多様性の管理指標として推移を把握、管理しています。

生物多様性指標
生物多様性指標 2021年度 2022年度 2023年度
水使用量(万m3) 559.5 485.7 483.3
CO2排出量(国内)(t-CO2) 79,380 73,404 59,669
エネルギー原単位(海外)(L/t) 164.1 164.1 156.5
VOC排出量(国内)(t) 44.3 53.3 52.7
窒素酸化物(NOx)排出量(t) 74.8 94.9 67.1
硫黄酸化物(SOx)排出量(t) 7.2 13.2 14.8
ばいじん排出量(t) 8.2 10.3 9.4
COD排出量(t) 148.7 224.5 159.0
廃棄物外部排出量(国内)(t) 13,949 13,466 10,625
サステナビリティ貢献製品※1 売上高(億円)
(売上高比率(%))
970
(64.4)
1,050
(62.4)
1,248
(53.6)

※1 2022年度までは環境調和型製品とし、基準の見直しにより2023年度からはサステナビリティ貢献製品としています

実績

生物多様性に関連した団体への参画
  • 経団連生物多様性イニシアチブ
  • CLOMA(クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス)
  • 生物多様性のための30by30アライアンス
  • 簡易モニタリングの実証試験を実施
主な生物多様性の保全活動
  • 社有林の生態系調査と貴重な種の保存活動
    (トーヨーケム(株)川越製造所)
  • びわ湖の日の環境美化活動
    (東洋ビジュアルソリューションズ(株)守山製造所)