ダイバーシティ&インクルージョン推進
基本的な考え方
当社グループは、人事ポリシーに「ダイバーシティと人権に関する方針」を定め、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)を取り組むべき重要な課題の一つとしています。
性別や国籍、年齢、障がいの有無にかかわらず多様な価値観・考え・発想を尊重するよう努め、やりがいを持って働くことのできる職場づくりを目指しています。
また、2020年に制定した「LGBTの理解を深めサポートするためのガイドライン」に基づき、LGBTQ+やSOGIへの理解促進に向けた取り組みを進めています。
「人間尊重の経営」をCorporate Philosophy(経営哲学)に掲げるartienceグループ(以下、「当社グループ」という)にとって、人材は最も重要な資本であり、社員一人ひとりが能力を存分に発揮する環境を整え、組織の成果を最大化することは、当社グループの持続的成長に不可欠です。
社員は一人ひとりが異なる特徴や個性、バックグラウンドを持った多様な存在であり、それぞれの考え・想いをもって職務を遂行しています。社員の「目に見える外見的な特徴」だけでなく「目に見えない内面的な特徴」についても互いに認識し、共に学びを深めていくことで、当社グループのさらなる企業価値向上に資するDE&I(ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)を実践します。
artienceグループが考えるDE&I
- ダイバーシティ(Diversity;多様性)
ダイバーシティとは、さまざまな人たちが集まって、一つのチームとして共存している状態のことです。ダイバーシティは、イノベーションを創出し組織を成長させる素地となり、組織の持続可能性を高めると考えます。 - エクイティ(Equity;公平性)
エクイティとは、すべてのメンバーが業務活動に必要な情報やツール、コミュニケーション手段に確実にアクセスでき、等しくメリットやチャンスを受け取れる状態のことです。社会に存在する不公平な構造を認識し、メンバーそれぞれの「違い」や状況に配慮して対応を多様化することが、組織の公平性を担保します。 - インクルージョン(Inclusion;包摂性)
インクルージョンとは、心理的安全性の高いチームの中でメンバーの誰もが安心感と自信を持ち、互いに受け入れられている状態のことです。そのような環境で個人の能力が最大限発揮されることにより、組織の力は最大化・相乗化されます。
DE&I推進において取り組むべき課題
(1) 経営戦略への組み込み
経営トップのコミットメントのもと、DE&Iに関する目標(KPI)を設定し、その実現に必要なロードマップを策定します。KPI・ロードマップは、当社グループの経営戦略として実行と見直しを進めます。
(2) 全社DE&I推進体制の構築・運用
取締役会を監督者とし、経営トップのコミットメントに立脚する、グループ全社をカバーするDE&I推進体制を構築し、実務組織やグループ各社と連携して取り組みます。また、この体制を継続的に改革し、実効性の向上に努めます。
(3) ガバナンス改革によるDE&I経営の強化
取締役会の経営監督機能を高めるため、取締役会の構成員のジェンダー、国籍、バックグラウンド、専門性などに関して必要充分な多様化が確保されているかを検証します。
(4) 多様な人材と働き方に向けた制度改革
社員の誰もが自身の特徴や個性、バックグランドに制限されず、自身の能力を活かして活躍できるように、人事制度を継続的に改革します。多様な社員の生産性・創造性を最大化するため、多様な働き方の実現に取り組みます。
(5) 行動・意識改革に向けた教育・育成
当社グループ内のあらゆる組織においてDE&Iを定着させるため、社員の各階層に応じた研修やワークショップを反復的に実施します。
(6) ステークホルダーコミュニケーション
当社グループの求める多様な人材に的確に訴求するため、発信と対話を効果的に実施します。またDE&I経営の取り組みを投資家層に発信し、企業価値向上に寄与します。
本方針の適用範囲について
本方針は、当社グループを構成するすべての会社およびすべての組織に適用されます。同時に、当社グループの役員、顧問、社員、契約社員、パートタイマー、派遣社員ほか当社グループの業務に従事するすべての人(総称して「役職員等」という)に対しても適用されます。
本方針の改廃および管理について
当社グループは、適用される法令等の改正や社会環境の変化に伴い、本方針を適宜改定します。
また、本方針の改廃事務等を行う所轄部署は、artience株式会社のDE&I活動を統括する部門とします。
2024年8月1日 制定(2024年7月24日サステナビリティ委員会にて承認)
推進体制
artience(株)グループ人事部が主体となって行ってきましたが、2021年9月にダイバーシティ推進プロジェクトを立ち上げ、部門横断的なメンバーで取り組みを推進しました。2023年1月からは、プロジェクトを引き継ぐ組織としてグループ人事部の配下にD&I推進室を新設し、新たな体制で活動を進めています。
※ D&I推進委員は2023年下期から活動予定です
取り組み
ダイバーシティ教育・啓発活動
2022年度は、ダイバーシティ推進プロジェクトの活動としてCEO座談会での意見交換や階層やテーマ別の研修を実施しました。
また、毎年開催している全社会議(サステナビリティ会議)においてプロジェクトの活動報告とグループ内での情報共有を行いました。
LGBTQ(SOGI)への理解と対応
2022年6月にパートナーシップ制度を導入し、これまで法律上の配偶者のみに適用していた、慶弔や育児・介護、転勤や海外赴任に関する社内制度や福利厚生について、事実婚および同性パートナーへ拡大しました。
9月には「LGBTQとAlly-正しく知る事からはじめよう-」セミナーを開催し、LGBTQに関する基礎知識やLGBTQに関する日本の状況などを学ぶ動画の視聴と、トークセッションを行いました。研修の参加者からは、「今回の研修のような『まずは知ること』『考えるきっかけ』となる活動が最初の一歩となり、多くの人が知ることができればいいと思いました」「この研修はとても良かったので、たくさんの方に広く知ってもらいたい」「固定観念、先入観が大きく取り払われた近年で稀にみるためになる研修であった」など反響が大きい研修となりました。
さらに、「あらゆる違いを理解し味方する人」をアライ(ALLY)とするワークグループを発足し、アライ(ALLY)賛同者を募集しました。今後は情報発信による啓発活動を実施してアライ(ALLY)賛同の輪を広げていきます。
これらの活動が評価され2022年11月に職場におけるセクシュアル・マイノリティへの取り組み指標であるPRIDE指標の「ゴールド」に認定されました。
- 「CEO座談会」の開催
- 「アンコンシャス・バイアス研修」の実施
多様な活躍推進
女性の活躍推進
中期経営計画「SIC-Ⅱ」において女性管理職比率(国内)を2020年度の4%から、2024年1月に8%とする目標を設定し取り組みを進めています。
2022年度は、6月にCEO座談会を開催し、なでしこ銘柄フィードバックシートを基に活動で不足している点を分析し、「ガバナンスと推進体制」、「女性管理職比率」の2点について意見交換を行いました。9月には、外部講師を招き、役員・部門長を対象とした「生物学的、医学的に見た男女の健康の違い」の講演を実施しています。
また、組織階層におけるチーム制度を導入しました。小さい単位での早期マネジメント機会を創出することで、グループ全体のマネジメント力強化を図っていきます。
シニア世代の活躍推進
生涯現役社会において社員一人ひとりが役割を発揮し続けることを目的に、2018年9月より、国内の正社員を対象に定年年齢を63歳から65歳へ延長しました。キャリア形成の支援策として、働きがいの継続につながるキャリア教育や、シニア世代に配慮した職場環境の整備、健康増進などにも取り組んでいます。
障がい者の活躍推進
2019年より知的障がい者の雇用を始め、国内の障がい者雇用率は、2022年度2.6%です。主な業務はメール便、書類の電子化、データ入力、会議室など共有スペースの消毒作業や各フロアの消毒液・除菌シートの補充、名刺作成、グループ会社や他部門から依頼された商品出荷や配送、イラストやデジタルサイネージの作成など、多岐にわたる業務を行っています。
また、定期的に特別支援学校の生徒の就業実習を行っており、障がい者の長期的な就労の実現へ向けて取り組んでいます。
外国籍の活躍推進
国内においては、外国籍の社員(約30名)が語学力やグローバルな感覚を活かしてさまざまな部署で活躍しています。
地域の宗教の配慮
当社グループは、地域の宗教に配慮してグローバル展開を進めています。イスラム圏では、Halal(ハラル)認証の取得を進め、イスラム法の食事規程に対応したパッケージ製品などを提供しています。また、イスラム教徒のために工場内にMusholla(ムショラ)という礼拝場所を設置、断食月(ラマダン)への対応も図っています。
PT. TOYO INK INDONESIA(インドネシア)では、インドネシアの文化を尊重し、福利厚生の一環としてモスク(礼拝堂)を建設しました。モスクは近隣の会社の従業員や地域住民にも開放しています。