artienceの強み|統合レポート2024 保有資源と外部リソースの融合で新たな価値を生みだす技術・知財戦略
2024年6月28日 公開
本ページはAIを用いて翻訳しています。
技術転用で価値を最大化する
たくさんの事業を持っていること、そしてそれを支える多様な技術を持っていることが我々の強みです。例えば、一言で接着剤といっても、粘着剤やラミネート接着剤、ホットメルトなどさまざまな製品があります。お客様は粘着剤がほしいのではなく、くっつけたいわけで、そのための手法をたくさん持っているということは大きな強みだと思っています。
当社の代表的な製品としてラベルやパッケージなどに使われるポリマーがありますが、同じ技術をべースにしつつプラスアルファの技術を乗せることで、半導体の封止や接着に展開することができます。廉価な汎用品に使用している技術も、ほかの分野に応用することで、付加価値は10倍、場合によっては100倍にもすることができるのです。
次の技術として半導体に注力
半導体分野は、現在注力しているリチウムイオン電池用CNT分散体の次の技術として、開発に力を入れています。半導体は大容量化・高速化ニーズにより、三次元実装化という大きな転換点を迎えています。そもそも半導体分野は実績のあるメーカーが圧倒的に有利なのですが、このような構造の変化は、新規参入のチャンスです。具体的には、この三次元実装により、半導体には熱の課題が出てきます。いかにこの熱を放熱するか、いかに熱に伴う応力を緩和するか。今までにない新しい課題が出てきています。これが新規参入の大きなチャンスになるのです。
私は感性価値とは、お客様の期待を超える価値を提供することだと捉えています。そこまで考え抜いた提案をサイエンスでつくり上げたい。それが、さらに先の新規事業の開発や創出につながっていくと思っています。
AI化で情報と人の交流を活性化する
これまでに培ってきた技術はテクノロジープラットフォームとしてデータベース化していますが、私はこれをさらに進化させて、社内クローズドAI化していきたいと考えています。
グループ内には多くの事業部門がありますが、部門の間にはどうしても組織の壁ができてしまいます。往々にしてこの組織の壁は、情報や技術者同士の交流を阻むことがあります。
会社としてどれだけ経験を積み重ねても、活用できなければ意味がありません。結果だけでなく、実験の狙いや考察、技術者がどのように思考したのかをきちんと残すこと、そしてその情報を容易に引き出せること。簡単なようにも聞こえますが、これが意外と難しい。課題解決のための手段として、AIを活用することで検索しやすくし、欲しい解答を簡単に入手できる状態にしたいと思っています。
それから、新たなアイディアを実現するために、自分の技術だけでは不足がある場合、組織の壁を越えて当社グループ内で実現可能な人、その分野に詳しい人が検索でき、すぐにコンタクトがとれるような仕組みを実現したいと思っています。人と人が結びつくことで、新たなものが生まれやすくなるはずです。
しかも、この取り組みは国内だけでなく、海外の拠点も含めたシステムにしていきます。気軽に相談でき、その分野に詳しい人が解答する、場合によっては人を派遣するといったことを通して、グローバルでの課題もスピーディーに解決して、売上に結び付け、差別化することができる。そんな仕組みをつくっていきます。
新たな技術創出には、失敗を恐れない企業風土が必要
私は2023年12月までトーヨーケム(株)の社長を務めていましたが、トーヨーケム独自の取り組みとして、どんな小さなことでも、全員がチャレンジしようと呼びかけ、良いチャレンジには「チャレンジ賞」を出すような、表彰制度を設けていました。失敗を恐れずチャレンジする。小さなチャレンジが大きなチャレンジにつながり、新たな技術や利益を生んでいくことになります。技術や人の交流と合わせて、良い企業風土につながったと思っています。
失敗を恐れずチャレンジする風土を、グループ全体に波及させていきたい。これも、私の役割だと思っています。
10年後に勝つために、外部の技術も積極的に入手
中期経営計画で掲げている数字の積み上げは、もちろん着実にこなしつつ、それ以上に何を狙っていくのか。短・中期の開発を行う事業会社の技術部門、研究所、長期開発を担うartience(株)のR&Dの両輪で、将来の核となる事業を見据えて展開していきます。
10年後に勝つために、バックキャストで考えて、発展していくストーリーをきちんと持って、artienceらしさを大事にしながら、競合他社に勝てる技術を確立していきたい。
そのときに、自分たちの資源だけを積み上げても到達できないのであれば、海外や国内のスタートアップや大学など、外から新しい技術を手に入れていく活動もこれからは必要だと思っています。
また、自社技術と外部技術を融合することで、art とscienceの新しい結合やセレンディピティ的な開発も期待できます。アサヒビール様とのオープンイノベーションで生まれた「生ジョッキ缶」用内面塗料などが好例です。
武器になる知財と、技術系人材を強化していく
もう一つ、私が注力したいと思っているのが知的財産の活用です。新しく開発した技術を特許化していくのはもちろん、すでに当たり前に使っている技術も特許化することに取り組んでいます。さらに、知財はいかに早く出すかが重要なので、AIを使ってスピーディーに知財化する、「AI知財」を実現する活動を始めました。強い知財、営業の武器になるような知財を戦略的に活用していきます。
また、開発をスピードアップしていくために、海外R&Dをつくり、海外の技術部隊をもっと強化していきます。また、国内外を問わず、スペシャリストをもっと育成していきたい、とがった人材を育てたいと願っています。人事的な処遇も見直して、やり甲斐を伴って新しいチャレンジを生み出していく。そういった風土をグループ全体で培っていきたいと思っています。