中期経営計画artience2027|統合レポート2024 事業ポートフォリオの変革

2024年6月28日 公開

本ページはAIを用いて翻訳しています。

artienceグループの事業ポートフォリオは、印刷インキから派生した素材と技術を応用した製品群で構成され、幅広い市場・分野に広がっています。
数多くある事業を見直し、プライオリティをつけて資源を集中させることで、競争力のある事業をより強くしていきます。この事業ポートフォリオ変革により、さらなる成長を目指します。
専務取締役 コーポレート部門担当 濱田 弘之
専務取締役 コーポレート部門担当
濱田 弘之

強いところをより強く

我々の事業ポートフォリオの特徴は、製品数が多く、分野も多岐にわたり、また対象市場も国内外に広がっていることです。印刷インキに用いる色材とポリマーを軸に技術を発展させることで、日用品から先端材料までさまざまな市場に製品を提供してきました。事業が偏っていないため、リスクを分散できるメリットもありますが、資源が分散しがちという側面もありました。
デジタル化が加速することで情報系の印刷市場は縮小を続けています。また、これまでの大きな収益源の一つであった液晶ディスプレイ用カラーフィルタ材料は最終製品のコモディティ化による価格下落の影響により、今後、かつてのような収益率を期待することは難しくなってきています。

このような事業環境の中で営業利益を2016年度までの水準に戻し、さらに超えていくためには、すべての事業に総合的に取り組むというスタンスから転換しなければいけません。中期経営計画artience2027では、注力分野を明確化して資源を集中します。強い事業をより強化することで事業ポートフォリオを変革し、既存事業、新規事業ともに成長を加速させます。

高収益既存事業群への変革

既存事業を3つに分け、「成長事業」に集中

これまで不採算分野での販売会社の統合や生産拠点の整理・集約化、アライアンス推進などの構造改革を進め、一定の成果をあげてきました。
今中期経営計画artience2027では攻めに転じます。既存事業を「成長事業」と「収益基盤事業」、そして「構造改革・戦略再構築事業」の3つに分け、それぞれの取り組み姿勢を明確にしました。均一的にやる、ということは、何にも注力しないことと同義ですので、発想をもっとドラスティックに変えて、強いところを伸ばしていくというのが、基本方針1「高収益既存事業群への変革」の考え方です。

代表的な既存事業の分類と営業利益目標

代表的な既存事業の分類と営業利益目標

「成長事業」では営業利益を2023 年度の65億円から2026年度には90億円までストレッチさせる目標を立てています。既存事業においても、さらに利益を狙えるものはもっとあるのではないかと考えており、この程度稼いでいればよいということでなく、取りこぼしなく、徹底的にやるといった姿勢で臨みます。
成長事業は、リキッドインキや粘着剤、ラミネート接着剤など包装関連分野が中心となっています。国内ではいずれの製品もシェアが高く、市場も大きな伸長は期待できないことから収益基盤事業に位置づけられていますが、グローバルでみると成長の余地が大きい分野です。

海外での事業を成長のエンジンに

東南アジア、インド、トルコなど、今後人口が伸びていくエリアにおいて、我々が強い事業をドラスティックに力をいれて展開していきます。
東南アジアのパッケージ用のリキッドインキで我々が強みを持っているエリアはタイとマレーシアです。今後、3億人近い人口があるインドネシアにもより注力していく予定です。インドは、グループ会社の中でもトップクラスの伸長率になっていますが、シェアを広げる余地はまだ十二分にあると思っています。トルコでは新たな生産拠点が2024年7月に稼働します。生産拠点を増やしてキャパを上げることで、トルコ国内だけでなく、欧州や中東、アフリカへの売上も伸ばしていく計画です。

これら、今後の発展が見込めるマーケットで、我々の事業の強みが活かせる分野を見据え、総花的ではなく濃淡をつけながら事業を展開し、海外、特にアジア地域での事業を成長のエンジンにしていきます。
現在、海外での売上はグループ全体の約54%になっていますが、今後、60~70%を海外で稼ぐことを目標としています。

戦略的重点事業群の創出

市場の成長性と自社技術が活かせる分野という観点から3つの戦略的重点事業群を定めました。今中期経営計画では「モビリティ・バッテリー関連事業」と「ディスプレイ・先端エレクトロニクス関連事業」の2つの領域に集中し、これまでにない規模で重点的に投資を行い、今後の成長の柱に育てていきます。

リチウムイオン電池用材料
現在最も力を注いでいるのは、車載用リチウムイオン電池に使う、カーボンナノチューブ(CNT)分散体です。CNT分散体は電気自動車の航続距離を伸ばすためのキーマテリアルですが、CNTは非常に扱いづらい素材のため、実用化には我々が得意とする分散技術が大きな鍵となっています。
我々のCNT分散体は高い評価を受けていて、大手バッテリーメーカーでの採用が相次いで決まっています。このチャンスをものにすべく、投資計画を250億円超から490億円超(既投資約150億円を含めた累積)へ増額しました。
CNT分散体事業単体で2025年度に200億円超、2026年度に400億円超の売上を見込んでいます。これを事業の柱として、我々の事業ポートフォリオは劇的に変わることになるでしょう。artienceが電気自動車銘柄として名を連ねる日も遠くないかもしれません。
ディスプレイ・半導体用材料
これまでの収益の柱であったディスプレイ向けのカラーフィルタ材料はコモディティ化により、以前よりも収益率が落ちてきていますが、ディスプレイ生産拠点の中国シフトという事業構造の変化を、一つのチャンスと捉えています。
これはエレクトロニクス分野でも同様ですが、カラーフィルタ材料や電磁波シールド材料など、これまでのビジネスで築いたお客様との信頼関係は我々の大きな強みであり財産です。これまで当社が提供してきたディスプレイ・先端エレクトロニクス関連製品の周辺にはまだまだチャンスが眠っていると考えています。マーケットとのつながりを活かし視野を広げ、周辺材料のニーズを掴むことで次世代ディスプレイや半導体材料を展開していきます。

新生artienceとして

感性価値で競争力を上げる
色や触感などの意匠性はもちろん、我々が提供する素材を使うことによる安心感を提供することも感性価値だと思います。我々はこれまでもさまざまな形で感性に響く価値を提供してきました。今回、感性価値を我々の提供価値として位置づけましたが、意識して感性価値を上げていくことが、我々の競争力の源となり、お客様、ひいては社会への貢献につながると考えています。
ポートフォリオ変革で攻めの姿勢へ
私が思い描く会社としての「あるべき姿」は、新しいチャレンジが次々に生まれるような、活気ある雰囲気です。企業は売上や利益が伸びると、社内の雰囲気が明るく活気が満ちてきます。多くの社員が当事者意識を持ち、自分の仕事でどう影響を広げるのかを考え、行動することが必要です。今回の事業ポートフォリオの変革で、もう一度成長軌道に乗せることで、グループを活性化させていきたいと考えています。

統合レポート

経営計画artience2027/2030“GROWTH”