パッケージリサイクルソリューション

パッケージ用のインキと接着剤で国内トップシェアのartienceグループは、インキと接着剤を剥がす技術の確立とリサイクルシステムの構築により、使用済みプラスチックの再資源化に取り組んでいます。

パッケージリサイクルの課題

ほとんどのプラスチック製パッケージには、品名や成分、注意事項などの表示のほか、意匠性を高める目的でインキによる印刷が施されています。さらに、食品のパッケージや洗剤等トイレタリー商品の詰め替え用パウチなどのフィルムパッケージは、用途ごとに異なる要求性能を確保するために、多くの場合ポリオレフィンやポリエステル等のフィルムを接着剤で貼り合わせた複層構成になっています。
パッケージに欠かせないこの「印刷インキ」と「接着剤」は、プラスチックから簡単に剥がれないように設計されているためリサイクル工程で除去することが難しく、高品質な再生プラスチックを取り出すことができないため、再生プラスチックの使用先も限られていました。
artienceグループは、この課題解決のため、東洋インキを中心にプラスチック製パッケージに使用される印刷インキの脱墨※や接着剤を剥離する技術を確立し、再生プラスチックの品質向上に取り組んでいます。

※脱墨:印刷インキを基材から剥離・除去すること

インキと接着剤を剥がす技術

フィルムパッケージ:脱墨用コーティング剤・剥離用ラミネート接着剤

東洋インキは、複層構成のプラスチック製パッケージのマテリアルリサイクルを実現させる、脱墨用コーティング剤と剥離用ラミネート接着剤を開発しました。
従来使用していたラミネート接着剤を「剥離用ラミネート接着剤」に置き換え、プラスチックフィルムと印刷インキの間に「脱墨用コーティング剤」を塗工することで、プラスチックフィルムからインキと接着剤を除去し、透明に近い再生プラスチックを取り出すことが可能になります。

フィルムパッケージにおける剥離イメージ

硬質プラスチック:UV硬化型インキ用脱墨コーティング剤

クリアパッケージなどの硬質プラスチックの印刷に用いられるUV硬化型インキは、塗膜が固く硬化しているため脱墨が困難でした。基材となる硬質プラスチックとインキの間に「UVインキ用 脱墨コーティング剤」を塗工することで、アルカリ処理によりUVインキを取り除くことが可能になります。
水性(熱乾燥)、UV硬化型の2タイプをラインナップし、オフセット、フレキソ、樹脂凸版、コーターなど様々な塗工方法に対応します。

硬質プラスチックにおける剥離イメージ

剥離・脱墨プロセス

プラスチックリサイクルでは、使用済みプラスチックを破砕した後、アルカリ処理によって印刷インキや接着剤を剥離・脱墨することにより、透明に近い高品質な再生プラスチックの回収が可能になります。
artienceグループは、自社製造所内にリサイクルシステムの実証パイロットプラントを建て、剥離・脱墨用の素材開発のみならず、より効率的なプロセス確立に向けた検証を進めています。

プラスチックリサイクルのプロセス

また、2023年11月27日、このリサイクルシステムの社会実装を目的とした共同開発契約を機械メーカーの相川鉄工株式会社と萩原工業株式会社と締結いたしました。相川鉄工の製紙業界で培ったリサイクルファイナー(叩解装置)や古紙の脱墨、異物分離などのノウハウ、萩原工業のリサイクル機器及びエンジニアリング技術とペレット再生における高度濾過、調質・改質技術等のノウハウ、そこに弊社の剥離・脱墨技術を組み合わせることで、装置やプロセスの開発・改良・最適化を進めます。こうした取り組みにより、洗浄・脱墨・異材質分離・再生等のリサイクルシステムをワンパッケージとしてマーケットに提供することを目指してまいります。

協業によるリサイクルスキームの構築

プラスチックリサイクルは剥離・脱墨技術の開発だけでは実現することはできません。パッケージや成形物の生産から、加工時にでる端材や使用済みプラスチックの回収、再生プラスチックの利用方法まで、リサイクルシステム全体を構築する必要があります。
artienceグループの東洋インキは、コンバーター(印刷・加工会社)、ブランドオーナー、 リテーラー(小売)、ユーザー、リサイクラーなど多くのパートナーとともにリサイクルシステムの構築に取り組んでいます。

東洋インキの目指すリサイクルスキーム

お客様との取り組み事例

ジェイフィルム株式会社様:包装用クリアパッケージ

化粧品クリアパッケージのイメージ
包装用クリアシート生産大手のジェイフィルムと協業で、包装用クリアパッケージのリサイクルシステム構築に取り組んでいます。
印刷工場や成型加工工場内で発生する端材は、年間数千トンと言われる包装用クリアパッケージで使用されるプラスチックの3割近くにのぼりますが、その多くはインキが付着しているため、原料であるクリアシートへの水平リサイクル率は1割に満たないのが現状です。
印刷工場や成型加工工場内で発生する端材のリサイクルシステムを事業化、さらには市場からの回収を含めた全量をリサイクル可能とするシステムを確立することを目指し実証実験を進めています。

お問い合わせ

東洋インキ株式会社 サスティナルブルパッケージング部

東洋インキ株式会社