基礎編#09 ぜひ身につけたい「清色と濁色」センス

清色、濁色とは

清色、濁色という言い方を聞いたことはないという方も、多くいらっしゃるかもしれません。しかし「配色テクニック」の研究をしていると、その特性をよく理解して扱ったほうが良いと気づかされます。対比の効果をみると、「色相対比」や「明度対比」の事例は作りやすいし、見てわかりやすいですが、「彩度対比」はややわかりにくい傾向があると思われます。しかし、似合う色に合わない色の判断の時にも、この彩度の違いが大きく関与してきます。また、景観色彩の分野で、各地の気候風土の特徴をとらえる際に、調査結果が清色的傾向か濁色的傾向かを示すことがあります。その傾向の違いで、それぞれの土地で使い続けられてきた色に違いが見られたりします。
色彩を扱う際には是非身に着けておきたい「センス」といえるのです。

1)清色とは

純色並びに、純色に白あるいは黒を加えた色。黒も清色です。

清色

Vトーン=純色
Bトーン、Pトーン、Vpトーン (V+白) =明清色
Dpトーン、Dkトーン、Dgrトーン(V+黒) =暗清色
W(ホワイト)、Bk(ブラック)

2)濁色とは

濁色は、純色にグレーを加えた色が基本です。
ここで注意したいのは、純色に黒を加えた色です。
純色に黒を加えた色は、理論上は清色の部類に入り「暗清色」といいますが、「くらい」という状態であるので、「濁っている」と感じられてしまいます。これを「心理的濁色」といいます。

濁色

Sトーン、Lトーン、Dlトーン、Lgrトーン、Gr(V+グレー)=濁色
Dpトーン、Dkトーン、Dgrトーン ( V+黒)=暗清色=心理的濁色
LG(ライトグレー)、MG(ミディアムグレー)、DG(ダークグレー)

清色、濁色 イメージ図

清色と濁色の違いは、「質の違い」

清色と濁色はシステム上での差異より、物の感じ取り方を大きく左右します。使って効果が出るものや場所も異なってきます。人の嗜好にも関係してきます。

清色の事例

清色の事例 イメージ画像

濁色の事例

濁色の事例 イメージ画像

色の組み合わせ、隣り合わせの際には「清には清、濁には濁」

清色と濁色は、色を組み合わせるときにも、大いに注意して扱いたい視点の一つです。清色の良さ、濁色の良さを引き出すには、「同時に用いない」がポイントです。

清色と濁色を隣り合わせると、清色は彩度が高まり、濁色は反対にさらに濁って見えてきます。清色は、人工感を増し、濁色は汚れて見えるようになります。壁紙が古くなってきたので張り替えてみたら、その前に置いていたソファの張地が、薄汚れて見えてきた、というようなことが起こってきます。
清色は清色と、濁色は濁色と組み合わせるのが、それぞれの良さを発揮させるコツです、」色においては、清濁併せのむのは、なかなか難しいといえましょう。

しかし、グレイッシュさの程度は、比較での問題ともなりますから、合わせる色によっては、すっきりした色に見えてくる場合もあります。灰色みの入り具合をよく見て、実際に組み合わせながら考えてください。

左側と右側を比較してみて下さい。濁色は濁色で組み合わせ、清色は清色で組み合わせのほうが、安心できる組み合わせといえるでしょう。

色の組み合わせ イメージ画像
色の組み合わせ イメージ画像
色の組み合わせ イメージ画像
色の組み合わせ イメージ画像

2018年08月09日

Text by 日本カラーデザイン研究所