製品・ソリューション

経皮吸収型製剤(TDDS製剤)とは

薬剤の長寿化を目指して

注目される経皮吸収型製剤

経皮吸収型製剤
テープ剤あるいは貼付剤とも呼ばれる経皮吸収型製剤には、さまざまな薬剤が使用されています。
経皮吸収型製剤というと、例えば腰痛などの炎症を緩和する際に用いる消炎鎮痛剤(局所に作用する製剤)が思い浮かびますが、それ以外にも日本国内では循環器疾患、喘息、アルツハイマー病、パーキンソン病、アレルギー性鼻炎など各領域において経皮吸収型製剤(全身に作用する製剤)が発売されており、現在は統合失調症など新たな疾患に対しても製剤の開発が進められています。
また、海外においてもガン治療時に使用する制吐剤が販売されているほか、食物アレルギー治療用の製剤開発が進められるなど、貼付剤は各国で拡がりをみせています。

経皮吸収型製剤のメリット

肌に貼って用いる経皮吸収型製剤にはいくつかメリットがあります。

安全性に優れる

シップ
有効成分が皮膚から徐々に吸収されるために速効性はないものの、服薬時の血中濃度が長時間にわたり一定に保たれるという利点があります。また、経口剤とは異なり、初回通過(ファーストパス)効果が回避出来るため、肝臓への負担の軽減が期待できます。

服薬が簡便である

注射
嚥下障害がある人や薬を飲むことが困難な人(高齢者や小さなお子さんなど)でも服薬が可能です。また、自宅で貼ることができるため、注射のようにわざわざ病院へ行く必要がありませんし、針を刺す時の痛みもありません。

一方、万が一服薬時に副作用が現れた場合には貼付剤を剥がすことにより、その場で薬の吸収を止めることができるため、更なる副作用の重篤化を防ぐことができます。

服薬状況が可視化できる(アドヒアランス向上)

服薬
薬物療法においては医療者の指示通りにきちんと薬を服用することが大切ですが、経皮吸収型製剤では経口剤のような飲み忘れや飲み過ぎを防止できることも大きなメリットです。
服薬状況を「見える化」することで服薬アドヒアランスを向上させることは、服薬管理が困難な患者さんを抱えるご家族の心配の軽減にも繋がります。

トーヨーケムでの経皮吸収型製剤事業

研究
当社では、モノマー分子設計から分子量制御、物性や機能性の付与技術といった当社グループの保有するテクノロジーをベースとし、粘接着剤、粘接着テープ、塗料、屋外装飾用マーキングフィルムといった独自製品を展開しています。
当社は2016年7月、積水メディカル株式会社の経皮吸収型製剤事業を承継し、医薬品製造業、化粧品製造業及び第一種医薬品製造販売業の許可を取得しました。
この経皮吸収型製剤事業において、当社グループが有する粘接着剤を主力としたヘルスケア素材技術との融合を図ることにより、医療現場や患者さんが求める「さらに肌に優しい経皮吸収型製剤」の開発を進めています。

ライフサイクルマネジメントとトーヨーケムの想い

現在の薬価制度においては短期間での開発費用回収が難しくなってきていますが、それらを背景に製薬企業での製剤のライフサイクルマネジメントの一つとして経皮吸収型製剤が注目されています。
製薬企業にとっては今まで得られた有効性や安全性を反映し、新たに有益な剤形を追加することで、医薬品におけるライフサイクルの長寿化を実現させることが可能になるからです。
一方、患者さんにとっても、剤形の追加により服薬手段の選択肢が拡がることはメリットとなります。また、何よりもこれまで安心して服薬していた患者さんにとって、製剤が形を変えても長きに渡り使い続けられることは大きな魅力となります。

内用薬の置き換え率
外用薬の置き換え率

図表は、先発医薬品から後発医薬品への置き換え率を示したものですが、経皮吸収型製剤を含む外用薬では経口剤(内用薬)と比べて後発医薬品への置き換えが進んでいないことを表しています。
外用薬において後発医薬品への置き換えが進まない理由はさまざまあるかと思われますが、その背景のひとつには有効成分の効果はもちろん、経皮吸収型製剤がもつ特有の貼り心地、肌との相性といったいわゆる安心感があるのかもしれません。
「患者さんにとって安心感のある薬を作りたい」そして「大切な薬剤の長寿化に貢献したい」、経皮吸収型製剤開発に真摯に取り組む私たちトーヨーケムが、もっとも大切にしている想いです。

医師と患者

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