製品・ソリューション

インクジェットインキ

トーヨーカラーは、パッケージ分野で長年インキの技術を培ってきました。デジタル化が進むパッケージ印刷分野でも、軟包装、食品ラベル、紙器やダンボール向けなど、各種用途に対応したソリューションを提供しています。
基材対応力が高いだけではなく、オフセット印刷に迫る画質と印刷適性で、オンデマンド化、バリアブル化、パーソナライズ化が進むデジタルパッケージ印刷用の新しいインクジェットインキを提案します。

インクジェットインキとは

インクジェットインキとは、インクジェット印刷に使用するインキのことです。
一般コンシューマー用途からはじまったインクジェット印刷は、サイングラフィックスやテキスタイル、建材・壁紙、出版・商業印刷・ダンボール、紙器・ラベル・パッケージのほか、精密機器やメディカル分野など、さまざまな用途に使われています。

インクジェットインキは、大きく「溶剤系インキ」「UVインキ」「水性インキ」に分かれ、それぞれ以下のような特徴があります。

インクジェットインキのタイプ別の特徴
溶剤系インキ UVインキ 水性インキ
環境対応性 ✕~△ ○(nonVOC)
安全性
乾燥性(生産性) △~○
機上安定性
基材汎用性 △~○
フィルム 専用 多種○
耐摩擦/耐水性 ○/◎ ○/◎ △/△

インクジェット印刷の特徴

インクジェット印刷は、版を作成する必要がないため、必要なものを・必要なときに・必要なだけ印刷することが可能です。主に以下のような特徴があります。

オンデマンド印刷

情報や絵柄を1枚単位で可変印刷することができます。パッケージに個人情報やロットナンバーなどをモノクロ印刷できるだけでなく、パーソナライズされた絵柄をフルカラー印刷することができます。

小ロット印刷

小ロットでの印刷の受注が可能です。そのため、製品ライフサイクルにおける導入期・衰退期など、印刷部数が少ない場合にも対応できます。

インクジェット印刷のライフサイクル

短納期印刷

版を作成する必要がないため、印刷工程における製版の工程がなく、印刷納期の短縮が可能です。

グラビア印刷とインクジェット印刷の製版製造工程

当社製品の特長

当社は、長年培ってきた高度な分散技術とグループ会社の技術の複合により、インクジェット印刷の高画質化、印刷適性の強化を実現します。また、世界各国の法規制にも適切に対応し、お客様に安心してご使用いただける製品を提供しています。

① 高画質化

インキ物性のコントロールや基材表面処理技術による濡れ製制御、インキの浸透性制御による高濃度化、顔料設計と分光特性の最適化による広い色再現域の実現により、印刷物の高画質化に貢献します。

濡れ性制御

  • 印刷基材の表面性状や浸透性に合わせたインキ物性のコントロール
  • アンカー剤料による基材表面処理技術
液滴着弾時の濡れ性制御(動的表面張力)
従来インキタイプと開発品の印刷サンプルの
画質の比較
従来インキタイプ①(画質△)

従来インキタイプ①(画質△)

従来インキタイプ②(画質✕)

従来インキタイプ②(画質✕)

開発品(画質○)

開発品(画質○)

高濃度化

  • インキの浸透性制御により印刷濃度を改善

特殊な表面調整剤や疎水性溶剤を添加することで、ベタ部の埋まりが大きく改善し、印刷濃度アップを実現します。
また、必要なインキ量も減るため、乾燥性・硬化性も向上します。

特殊な表面調整剤、疎水性溶剤の添加効果
特殊な表面調整剤、疎水性溶剤の添加効果

色域、色再現性

  • 顔料設計(選定)と分光特性の最適化により、広い色再現域実現

インクジェット適性をもったオフセット色顔料を開発し、広い色再現域を実現しました。

従来構造と開発品「オフセット紅」の印刷サンプルの比較

従来構造と開発品「オフセット紅」の印刷サンプルの比較

開発品「LioJet APシリーズ」の色再現域

開発品「LioJet APシリーズ」の色再現域

② 印刷適性

インクジェット吐出性と乾燥性のバランスを考えた材料設計や、印刷機材上での濡れ広がり設計を適切に行うことにより高速印刷を実現しました。また、基材汎用化を可能にするアンカー剤の開発により、印刷適性を向上させています。

高速印刷

高速印刷には、インクジェット吐出性と乾燥性のバランスを考えた材料設計や、印刷機材上での濡れ広がり設計を適切に行う必要があります。当社は乾燥による固形分変化で大きく粘度が変化する樹脂を開発することで乾燥速度をアップし、高速印刷を実現しました。

インクジェット吐出性と乾燥性のバランス

インクジェット吐出性と乾燥性のバランス

インクジェットヘッドで乾燥させずに紙面上で乾燥

インクジェットヘッドで乾燥させずに紙面上で乾燥

基材汎用化

通常、印刷基材を変更すると滲みなどが発生します。当社が開発したアンカー剤を使用することで、すべての基材に同等の品質で印刷することを可能にしました。
また、アンカー剤は、多量のインキを高速で固定化させることにも効果を発揮します。インキを高速で固定化させることに優位に働く凝集系のアンカー剤により、乾燥性のアップを実現しています。

アンカー剤による高速画像形成技術

アンカー剤による高速画像形成技術

アンカー剤使用イメージ

アンカー剤使用イメージ

③ 各国法規制への対応

artienceグループは、「グローバル化学物質管理規程」を設定し、海外グループ会社で統一した標準管理を行う仕組みを構築し運用しています。また、各海外グループ会社において「グローバル環境システム」(法規制および登録情報を管理し、各国に対応したSDS、ラベル作成を行う独自システム)の運用を進めており、グループ製品の原材料情報や化学物質の法規制情報を一元管理しています。これにより、世界各国のお客様にSDSやラベルを通じて、製品中の化学物質情報や製品を安全に取り扱うための情報を現地の言語で提供しています。

また、海外各国において、欧州のREACHや日本の化審法と同様の化学物質の登録制度の法制化が進められています。これに対し、海外グループ会社間の情報ネットワークの活用、海外コンサルタントの協力により迅速に遵法対応できる体制を構築しています。特に、タイにおける既存化学物質のインベントリ構築においては、積極的に当局への情報提供を進めています。

化学物質の流れと管理

インクジェットインキにおいて、吐出性能と印刷品質の一貫性や最終的なインキ性能を高めるためには、顔料の分散は非常に重要です。当社は長年培ってきた高度な分散技術で、微小な粒子サイズで顔料を精密に分散させて各粒子の分離を保つことで、インキ全体のパフォーマンスを高めています。
また当社では、グループ会社で培った技術の複合化が可能です。ワンストップのイノベーションでお客様のビジネスを加速します。

お問い合わせ

トーヨーカラー株式会社 色材営業部

トーヨーカラー株式会社