project storyプロジェクトストーリー

project.01

プラスチックの
革新的リサイクル技術の社会実装

近年、世界中で使い捨てプラスチックの問題が注目され、プラスチックのリサイクル需要が高まっています。プラスチックと聞くと、ペットボトルやシャンプーのボトル等を思い浮かべるかもしれませんが、スーパーなどで見かけるお菓子などのパッケージも、ほとんどがプラスチックでできています。こうしたパッケージも同様にリサイクルが求められていますが、リサイクルを阻む問題のひとつが、パッケージとしての機能を満たすための※1複層構成にあります。そこでartienceは、フィルムパッケージにおける印刷インキの除去(脱墨)ならびにラミネート接着剤の剥離技術を開発しました。この革新的なリサイクル技術を社会に実装すべく、※2ブランドオーナーや印刷・加工会社、リサイクル企業、さらには一般消費者も巻き込んだリサイクルシステムの構築に取り組んでいます。

※1 パッケージとしての機能を満たすため、異なる性質を持つフィルム同士を、接着剤を使用して貼り合わせている。
※2 社会的に知名度の高い製品を製造・販売している最終製品メーカーなどの企業

事業会社の壁も、素材メーカーの枠も超え、
巨大なビジョンを描く

project member

S.H

東洋インキ株式会社
サスティナブルパッケージング推進部

私が部門長を務めるサスティナブルパッケージング推進部は、パッケージに関わるグループ各社のメンバーが兼務体制で参加するという新しい形の横断型組織です。本テーマはもともと全社プロジェクトとして発足しましたが、基礎技術の確立後、グループ各社が持つ技術や知見を活用・融合して事業を加速させるために、横断型の正式な組織として立ち上げることになりました。これまで社内に横断型の組織がなかったため、グループ各社が個別で持っている技術や知見をつなげるには社内調整を含めて多くの苦労がありました。一方、社員一人ひとりに目を向ければ、不確実性が高まる時代において今までのように限られた領域で専門性を高めていくことが必ずしも全員のキャリアにとって正解とはいえません。私はサスティナブルパッケージング推進部で働く魅力の一つは、「専門性を生かしながらも、その領域を広げていけること」と考えています。

また、この前例のないリサイクル技術・システムは、素材開発・生産・販売といった従来の素材メーカーの域を超えています。さらには、ブランドオーナー、印刷・加工会社、流通、消費者、リサイクル関連機器メーカー、リサイクル企業、原料メーカー、材料メーカー、国や自治体などとの連携が重要になります。巨大なリサイクルフローの中で大きな動きを推進できるのは、この事業に携わるやりがいです。
近年ではプラスチックが一種の悪者のように扱われることがありますが、生活に必要不可欠な存在であり、今までの人間の叡智が詰まっています。利便性を追求しながらも地球環境を持続させていくためには、今までになかった革新的なリサイクル技術が必要です。私たちだけではなく、多くの企業と協力しながら新しい仕組みを作っていくところに情熱を持って挑戦しています。

仲間を集め、パッケージ業界全体で
リサイクルの仕組みを実現する

project member

T.S

東洋モートン株式会社 営業部 営業2課
東洋インキ株式会社 サスティナブルパッケージング推進部 マーケティンググループ(兼務)

パッケージの環境対応方針を掲げているブランドオーナーに向け、私たちが取り組んでいるリサイクルシステムの提案を行っています。
このリサイクル技術に限った話ではありませんが、環境対応を進めるとコストは上がる傾向にあります。特に私たちのリサイクル技術は前例もなく、まだ普及していません。そこで今、私たちが取り組んでいるのが巨大なリサイクルフローの中での「仲間集め」と、サプライチェーン全体の仕組みづくりです。サプライチェーンの中で一部を切り出して見ると、たしかにコストアップであっても、サプライチェーン全体でコストを吸収する形にすれば、個々の企業の負担は小さくなり、実現可能性がはるかに高まります。ブランドオーナーだけでなく、印刷・加工会社や再生・回収を行うリサイクル企業などにも働きかけ、私たちのコンセプトに共感してもらえる企業を増やしているところです。

私自身、このプロジェクトに参加するまでは接着剤をメインに扱ってきて、リサイクルを含めた他分野に触れる機会が多かったとは言えません。また、既存の製品を提案するのとは違い、「まだないもの」について情熱を持って伝えるという面でも初の挑戦になります。知らなかった技術に触れ、接点のなかった企業と話をしながら、自分自身も新しい知見を得られるのは個人的にも面白みを感じています。
循環型社会は当社の力だけで実現できるものではありません。一方、企業にはそれぞれの風土や慣習、戦略があり、企業同士が手を組むには高いハードルがある事も事実です。この高いハードルを乗り越えるため、業界や企業の枠を超えた壮大なビジョンを描きながら情熱を持って発信し、仲間を集めていくという挑戦にやりがいを感じています。

今までのスコープを越え、
先の先まで見据えた情報発信を行う

project member

Y.I

東洋モートン株式会社 営業部 営業1課
東洋インキ株式会社 サスティナブルパッケージング推進部 マーケティンググループ(兼務)

私はブランドオーナー、印刷・加工会社などとの事業企画・技術検証や、展示会・ニュースリリースなど外部に向けたPR活動を担当しています。今回のプロジェクトの特徴としては、製品を製造して販売するというメーカー元来の役割を超え、リサイクルのシステム自体を構築していく点にあります。特にマーケティングの観点では、ブランドオーナーや印刷・加工会社に対して魅力的な製品を提案することがメインだった今までのやり方と違い、一般消費者まで視野に入れた上で、どのようなパッケージが望ましいのか、という先の先まで見据えて伝えるという点に難しさがあります。
リサイクルシステム構築のための技術や検証設備が形になってきた今、業界を超えたトレンドを作っていくために、当社の取り組みを周知していくことが重要です。展示会やニュースリリースの際には、企業だけではなく消費者にもリサイクルシステムを理解してもらえるよう、動画やサンプルも多く使用し、視覚的に伝わるPRを心掛けています。先日出展した大型の展示会では、これまで接点のなかった異なる業界の企業の方々にも興味を示していただくことができました。

当社にない知見をキャッチアップし、今までにないアプローチで発信していく点には難しさもありますが、新規事業の立ち上げや推進という貴重な経験ができており、かつ自分のアイディアを形にできることに大きなやりがいを感じています。仕事の視野の広がり、今まで関わりのなかった人々との連携、パッケージ業界の枠を飛び越えた知識など、自身の成長も感じています。将来的には、この経験を生かし、今後のパラダイムシフトに対応した次なる事業の立ち上げにも関わっていきたいと考えています。

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