project.02
新たな価値の創出に向け、
次世代の素材・技術開発に取り組む
目まぐるしいスピードで技術革新や社会変化が起こっている中、artienceは既存の技術を磨き続けるだけではなく、新たな価値の創出に向け、次世代の素材・技術開発に取り組んでいます。ここではR&D本部 次世代技術研究所に所属する4名の社員が、その最前線について語り合います。
project.02
目まぐるしいスピードで技術革新や社会変化が起こっている中、artienceは既存の技術を磨き続けるだけではなく、新たな価値の創出に向け、次世代の素材・技術開発に取り組んでいます。ここではR&D本部 次世代技術研究所に所属する4名の社員が、その最前線について語り合います。
project member
Y.M
artience株式会社
R&D本部 次世代技術研究所
マテリアルプロセッシングG
K.K
artience株式会社
R&D本部 次世代技術研究所
マテリアルプロセッシングG
A.N
artience株式会社
R&D本部 次世代技術研究所
ポリマーイノベーションG
R.J
artience株式会社
R&D本部 次世代技術研究所
ポリマーイノベーションG
introduction
artienceのR&D本部には次世代技術研究所、生産技術研究所、解析技術研究所の3つの研究所があります。今回は次世代技術研究所の4名が集まりました。私とR.Jさんが所属するポリマーイノベーションGでは半導体分野、ディスプレイ分野で新たな有機素材(色材や樹脂)や技術の開発とその事業化に力を入れています。
私とK.Kさんが所属するマテリアルプロセッシングGでは、次世代電池、ディスプレイ/センサ、半導体の分野において、さらなる差別化を実現するため、artienceの既存のコア素材である有機素材に続いて、無機素材の開発に取り組んでいます。artienceの新たな強みの獲得が大きなミッションになります。
ポリマーイノベーションGとマテリアルプロセッシングGでは、研究分野の対象領域や素材の違いはありますが、それぞれ長期的な視点に立った研究開発を推進しています。今日は、お互いのグループがどのようなプロジェクトに取り組んでいるのか、お伺いしたいと思います。
はい。こちらこそ今日はよろしくお願いします。
まずはマテリアルプロセッシングGの方から話を聞いてみたいと思います。Y.Mさんはグループのマネジメントを担当し、K.Kさんはセンサーチームに所属しているそうですね。どのようなプロジェクトに取り組んでいるのですか?
artienceが目指す「心豊かな社会」、「持続可能な社会」の実現に向け、IoT社会の実現に貢献するセンシングデバイスのための技術開発を行っています。今、身の回りには多くのセンサーがあふれ、様々な形で私たちの生活を支えています。当社開発によって新機能・高機能のセンサーデバイスを実現し、新しい価値の提案や利便性の向上につなげることが目標です。
可視光だけではなく目にも見えない長波長領域の光もセンシングし、今までの光学センサーでは成し得なかったアプリケーションを実現すべく、次世代の無機素材の研究を行っているのがK.Kさんたちのセンサーチームになります。
どのようなことに注力して開発を進めているのですか?
メカニズム検証を通じた従来のアプローチに加え、マテリアルズ・インフォマティクス、シミュレーションなどの計算化学を活用したり、有機材料や分散技術の強みも生かした有機・無機ハイブリッド材料を開発したりと、無機材料メーカーの常識とは異なる視点によるアプローチにも取り組んでいます。東京工業大学との協働研究拠点設立をはじめとした国内外オープンイノベーションに積極的に取り組み、量子計算による素材の設計や合成といった技術構築に注力しています。
artienceのコア技術である有機材料や分散技術の活用や、外部機関などとの協業によりシナジーを発揮しているというのは実に当社らしいアプローチですね。ただ、当然ですが、簡単な取り組みではないはずです。
その通りですね。新しい領域の素材の獲得ですから、ゼロからイチを生み出す必要があります。従来の開発テーマ設定では、顔料や樹脂の技術をベースにして研究成果を積み上げていくことができますが、基盤がないところに知見を蓄積していくという難しさがあります。
おっしゃる通りです。artienceのコア技術から離れた分野なのでゼロベースで取り組む必要があります。一方で社内外の多くの関係者の協力を得ながら新しい分野に挑戦できるのは、このプロジェクトの面白さであるとも感じています。
市場の動きや情報のアップデートも早い領域で、今まで取り組んできたことが振り出しに戻る場面も少なくありません。そのためR&D本部所属ではありますが、積極的にお客様のもとへ足を運び、意見交換を行うようにしています。このような活動を通して、K.Kさんは前向きに粘り強く取り組んでくれており、私としても非常に期待しています。
A.NさんとR.Jさんのグループが注力している分野についても教えていただけますか。
注力領域としては半導体、ディスプレイ分野がありますが、今回はR.Jさんがメインで携わっている半導体分野についてお話したいと思います。例えば、近年では生成AIや自動運転の普及により消費電力が大幅に増加すると予測されており、私たちはその消費電力やそれに伴うCO2排出の抑制につながる新たな半導体に向けてポリマー素材の開発に力を入れています。
半導体分野への市場参入をめざし、私はポリマーの精密重合技術を開発しています。精密重合技術によってポリマーの構造や配列をコントロールすると、従来の重合技術から得られるポリマーと比べて、狙った特性をより高く・明確に発現させることができます。ポリマー素材の特性が実用物性に大きく影響するため、その合成技術にも磨きをかけています。
ディスプレイなど他のチームとの連携もあるのですか?
はい。最終的な用途が違っていても、ゼロからイチを生み出すために情報交換を行い、協力している点が私たちの強みだと思っています。私たちR&D本部は長期的な視野に立って事業を作っていくというミッションがありますが、違う分野同士のシナジーで新しい事業が生まれていくと考えています。
オリジナリティが高く、他社と差別化させる点でも、全く異なる分野の技術の活用には積極的に取り組んでいますね。
一方、半導体分野はartienceとしての実績が少ない新規領域ですが、プロジェクトの難しさはどのように感じていますか?
開発の道筋が不明瞭な点に難しさを感じています。長期的な視点での基礎研究、なおかつ新市場へのチャレンジなので、満たすべき物性が明確でなかったり、逆に多岐にわたりすぎていたり、という状況にあります。先程K.Kさんが説明した、東京工業大学との協働研究拠点をはじめとした大学やコンソーシアムを活用しながら、どんな物性に重点を置くべきか考え、評価方法も手探りで進めています。先ほどのY.Mさんの話にも強く共感したのですが、私の研究でも、今まで取り組んできたことが振り出しに戻る場面が少なくありません。
そのように不確定な部分が大きい状況下でも、R.Jさんは粘り強く取り組んでくれています。社内で基盤のない分野の技術を模索してきて、今ではR.Jさんが社内で一番詳しい人物になっています。とても心強いですね。
ありがとうございます。今までになかった領域を広げられたことには自信を持っています。次世代技術研究所内では周りの先輩たちも未知の領域に積極的に挑んでいて、そんな姿からも刺激を受けています。
新しい素材を作る上では、「粘り強さ」に加えて、「好奇心」と「チャレンジ精神」が大切だと思っています。ある程度経験を積んでベテランになると、「難しそう」と感じたことには躊躇してしまいますが、K.KさんもR.Jさんも果敢にチャレンジしてくれていると感じました。
ありがとうございます。私は3つの要素の中で特に「好奇心」に共感しました。自身の好奇心を伝えて挑戦させてもらえる環境があることは、artienceの魅力だと感じています。
その通りだと思います。個人の希望を聞いてくれる機会が多く、会社の向かうべき方向と個人の好奇心が重なる領域を任せていただいています。きっと私やK.Kさん以外のメンバーも同じように感じているはずです。
そうですね。新しい価値を生み出すためには、社員一人ひとりが前向きに挑戦することが大切だと考えています。私自身、できるだけ個人の希望、個性や強みを考慮しながら、挑戦しやすい環境づくりをめざしています。
R&Dでは10個のテーマがあったとして、すべてがヒットするわけではありませんからね。失敗しても、むしろそれを次に生かして頑張ってという応援の言葉をもらえるのはartienceの魅力です。
その通りです。知見が多くない無機素材の開発は特に難しいチャレンジだと思います。その中で『好奇心』を持っていろいろなアイディアから開発を推進するのは素晴らしいことだと感じています。無機材料がこれからのartienceのコア素材のひとつになっていくと期待しています。
私も同感です。私自身も日々の業務で感じていることですが、いろいろな人と関わる中で新しいアイディアは生まれてきます。artienceでは、他部門や異なる拠点の技術者と気軽に交流できるように、Slackの導入や社内版Youtube(R&Dtube)を活用し、技術者同士が互いの取り組みを共有できる環境が整備されています。そのような環境を積極的に利用したY.MさんやK.Kさんたちの働き方はロールモデルのように見ています。
ありがとうございます。私からもポリマーイノベーションGの印象を語ると、非常に難しい分野に取り組まれている印象です。ポリマーは制御するのが非常に大変で、他の素材とは一線を画す難しさがあるはずです。ただ、この先の技術の発展性はとても大きく、まさにサイエンスの「イノベーション」を起こしている組織だという印象を持っています。
そうですね。お互いの知見を持ち寄ってシナジーを生むことで、artienceらしいオリジナリティのある技術が生まれると思います。分野は違っても、新しい素材や価値を生み出し、事業に貢献するという私たちのミッションは同じです。ぜひ力を合わせていきましょう!